数か月にわたる通院、仕事を休まざるを得なかった日々、将来への不安…。精神的にも肉体的にも大きなダメージを受けたのに、提示された金額があまりに低いと感じたことはありませんか?
実は、慰謝料の金額は「通院回数」や「通院期間」だけで決まるわけではなく、どの計算基準が使われたかによっても大きく変わります。「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つがあり、それぞれで2倍、3倍以上もの差が出るケースもあるのです。
このページでは、慰謝料がどうやって計算されるのか、そして相場はどれくらいなのかをわかりやすくご紹介します。
慰謝料とは、交通事故で被った精神的な負担などを塡補するものです。一口に精神的な負担といっても、その種類や程度は人それぞれ。怪我による痛みや恐怖だけでなく、入通院するための時間的負担、仕事ができないことへの不安など、個々の事情によって異なる精神的苦痛があるでしょう。交通事故慰謝料は、こうした負担に対して支払われます。
被害者が請求できるのは、治療費や休業損害、精神的負担に対する慰謝料です。 補償の対象となるのは、交通事故で負った怪我について入院または通院を始めた直後から症状固定前までの期間。なお症状固定とは、「治ってはいないが、これ以上治療をしても症状が回復しない」と判断された時点のことを言います。
交通事故の入通院慰謝料は、「通院日数」と「治療期間」のうち、少ない方を基準に計算されるのが一般的です。 これは、骨折で治癒まで120日間かかった人が5回しか通院していなかった場合、通院日数5日分をベースに慰謝料が計算されるということです。
120日間も不自由な生活をし、精神的負担があったにも関わらず「5日間で換算されるのは納得がいかない」という人はいるのではないでしょうか。
ただし、通院日数が少なくても、主治医の指示に従った通院なら治療期間ベースでの慰謝料を受け取れる可能性があります。そこで注目したいのが、慰謝料の計算方法です。慰謝料の計算方法には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つの基準があり、どの基準を採用するかによって金額は大きく異なります。
自賠責基準とは、自賠責保険から支払われる慰謝料額の基準です。交通事故の被害者に対する最低限の補償を目的としているため、当然ながら慰謝料は最低ライン。
※支払い上限額を超えた場合は、超過分を加害者側の任意保険会社に請求しなければなりません。
自賠責基準では、入通院慰謝料を「実通院日数の2倍」と「通院期間」のうち少ないほうを採用します。1日当たりの入通院慰謝料は4,300円と決まっているため「通院5日、治癒期間120日」の場合は日数が少ない通院日数を採用し、4,300円×5日×2=43,000円と計算します。
注意したいのは、自賠責基準の限度額には慰謝料だけでなく治療費や休業損害も含まれるということ。120万円を超える慰謝料は払われません。
任意保険基準は、加害者側の任意保険会社が独自に設けた基準です。非公開のため正確な金額はわかりませんが、概ね自賠責基準と同程度か少し高い程度。もともと自賠責保険でカバーできない部分の補償が目的の保険であるため、慰謝料の金額はさほど高くありません。
裁判所基準(以下、弁護士基準)は、裁判所の判例に基づいた計算方法です。実際に裁判で慰謝料を請求する際にも採用されています。
金額は、日弁連交通事故相談センターが毎年発行している「損害賠償額算定基準」や定期的に発行している「交通事故損害額算定基準」に記載された算定表をもとに計算します。
入通院慰謝料を計算する場合、通院日数ではなく治療にかかった期間で算定するのが特徴。このため「通院5日、治癒期間120日」の場合は120日間をベースに計算をします。3つの基準の中で慰謝料はもっとも高額です。相手方の保険会社の提示金額が極端に低いと感じている方は、ぜひ弁護士基準での請求を検討してみてください。
後遺障害には1級〜14級までの等級があり、等級ごとに慰謝料の目安が決められています。具体的な金額は以下のとおりです。(任意保険基準の金額は、自賠責基準とほぼ同等)
等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
要介護1級 | 1650万円 | 2800万円 |
要介護2級 | 1203万円 | 2370万円 |
1級 | 1150万円 | 2800万円 |
2級 | 998万円 | 2370万円 |
3級 | 861万円 | 1990万円 |
4級 | 737万円 | 1670万円 |
5級 | 618万円 | 1400万円 |
6級 | 512万円 | 1180万円 |
7級 | 419万円 | 1000万円 |
8級 | 331万円 | 830万円 |
9級 | 249万円 | 690万円 |
慰謝料の金額は、等級だけでなくどの基準を採用するかによって異なります。自賠責保険基準では上限額が決まっており、限度額を上回った場合でもそれ以上の慰謝料は支払われないので注意してください。
示談交渉を進める中で、相手方保険会社が提示してくる慰謝料は基本的に、任意保険基準をもとに計算されています。
前述のように、任意保険基準は各保険会社が独自に決めた基準かつ非公開のため一概には言えませんが、法的に適正とされる弁護士基準よりも大幅に低いのが一般的。任意保険基準と弁護士基準の違いを知らないまま提示額を受け入れると、本来の権利よりも大幅に少ない賠償金額で済まされる可能性があるので要注意です。
交通事故の慰謝料請求を弁護士に依頼することで、弁護士基準で計算した慰謝料を受け取れる可能性が高まります。増額交渉なども代行してくれるので、心理的負担を感じることなく仕事や治療に専念できるでしょう。
弁護士に依頼する費用が心配な場合は、弁護士特約を利用してみてください。弁護士特約とは、自動車やバイクの任意保険、医療保険や火災保険などに付けられる特約のこと。自動車事故や日常生活の事故で被害者になったときに、相手方への賠償請求や示談交渉を弁護士に委託する費用を補償してくれます。
保険ごとに補償上限額が決まっていますが、示談交渉を取りまとめてもらうだけなら、ほとんどの場合上限額内に収めることが可能です。相手方保険会社が提示する金額に納得いかない方は、ぜひ相談してみてください。
交通事故の被害者が受け取る慰謝料について、保険会社は基本的に「弁護士基準」に基づいた金額を、弁護士が介入しない限り支払いません。しかし、弁護士が介入すれば、その基準に従った適正な慰謝料が支払われる運用となっています。
コールグリーン法律事務所では、弁護士費用特約に加入されている方からのご依頼を多数受任しており、手続にも精通しています。
ご相談いただければ、弁護士特約を活用した適切な対応をご提案いたします。慰謝料の増額と適正な権利の実現のために、ぜひ弁護士の介入をご検討ください。
交通事故専門の弁護士津田岳宏
浜松・京都エリアの
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当メディア交通事故の慰謝料に納得がいかない方に向けて、慰謝料の仕組みや、弁護士に依頼することで慰謝料が増額された事例などを紹介しています。こちらもぜひ参考にしてください。
(2025年7月時点)
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