交通事故の被害に遭うと、まずは治療に追われ、そのあと示談交渉…と慌ただしく時間が過ぎていきます。
でもその中で多くの方が感じるのが、「いつ慰謝料がもらえるのか、どんな手続きを踏むのかがよく分からない」という不安です。
治療や交渉に追われているうちに、「必要な手続きが抜けていた」「もっと早く準備しておけばよかった」と後悔するケースも少なくありません。
このページでは、事故発生から慰謝料が支払われるまでの流れをステップに分けて、わかりやすく解説します。
後遺障害がある場合の追加手続きについても解説しているので、ご自身の状況と照らし合わせながら、適切な対応を確認してみてください。
交通事故の慰謝料が支払われるまでの主な流れは、以下の5ステップです。示談が成立した後は、1~2週間程度で慰謝料が振り込まれるのが一般的です。
事故発生直後にまず行いたいのは、警察への連絡です。負傷者がいない物損だけの事故であっても、警察に届けましょう。警察に連絡をしないと、実況見分が行われません。実況見分とは、警察が事故の現場を検証し、事実確認や証拠保全を行うこと。実況見分を行わないと事故の正確な状況が分からず過失割合の決定や損害賠償額の算定などに影響が出てしまいます。
相手がいる場合は、相手の情報を確認します。口頭だけでなく、名刺・免許証・車検証なども併せてチェックするようにしてください。
実況見分が終わったら、すぐに病院で医師の診察を受けましょう。直後に痛みがなくても、後から急に具合が悪くなったり悪化したりする可能性があるので受診しておくのがおすすめ。事故から時間がたってしまうと、事故との因果関係を否定され、慰謝料請求ができなくなる恐れがあります。
怪我の治療は、完治、または症状固定するまで続けます。症状固定とは、これ以上治療しても改善が期待できない状態のこと。慰謝料の金額は通院頻度や回数をベースに算出するため、通院回数が少ないと「その程度の怪我」と判断されてしまいます。しっかりと通院して治療の正当性を明らかにし、適切な治療費を獲得できるようにしましょう。
また、慰謝料請求では診療明細書や通院記録が非常に重要です。事故による負傷の程度や治療経過を証明する証拠であり、適正な慰謝料を請求するための根拠になるため、しっかりと保管しておきましょう。
入通院期間が長期化すると、相手方保険会社から治療費の打ち切りを告げられることがあります。これは、保険会社が保険金を支払いたくないからです。
しかし、症状固定の時期は保険会社が決めるものではありません。相手方保険会社にいくら催促されても、主治医が治療を指示した場合は通院を継続しましょう。まだ治療が必要な状態であるにも関わらず応じてしまうと、その後の治療を全て自腹で続けなくてはなりません。後遺障害等級の認定でも不利になる可能性が高まります。
治癒、もしくは症状固定になると、治療費や休業損害の期間が確定します。そしてこれをもとに相手方保険会社から慰謝料を含む損害賠償金の金額が提示されます。 提示金額が相場より低い、納得できない場合には、金額の上乗せを求めて保険会社と交渉を行いましょう。
しかし、一般の方と保険会社の担当者の交渉で、賠償金額の増額を認めさせるのは容易ではありません。十分な損害賠償金を得るには、弁護士に示談交渉を依頼するのがおすすめです。
治療を行い治癒すれば良いですが、中には治癒に至らず後遺症が残る場合があります。後遺障害等級認定とは、この後遺症について、後遺障害の認定を受けることです。後遺障害等級を獲得できれば、その等級に対応した後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求することができます。
ただし後遺障害等級の認定を受けるためには、主治医が作成する後遺障害診断書の記載内容が非常に重要です。記載に誤りや不備があると、想定より低い等級で認定されたり、非該当になったりしてしまいます。このため早い段階から後遺障害等級認定に精通した弁護士のサポートを受けるのがおすすめです。
相手方保険会社から慰謝料額が提示されたら、その妥当性を検討。納得できない場合は交渉をすることになります。交渉できるのは、治療費や通院交通費、付き添い介護サービスなどの医療関係費、休業損害、入通院慰謝料などについてです。
後遺症が残り、後遺障害等級の認定が取得できた場合には、さらに後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益、介護費などを請求することができます。 被害者が亡くなった場合には、亡くなった被害者本人の死亡慰謝料、遺族固有の慰謝料、葬儀関係費等を請求することが可能です。
休業損害で注意したいのが、専業主婦の請求です。元々収入を得ていないので減収はありませんが、事故の怪我のせいで家事・育児ができないことも「損害」です。自賠責基準では基礎収入1日6,100円として計算し、損害額を補償してくれるので、示談書に署名・捺印をする前によく確認してみてください。
示談が成立するのは、損害賠償金の金額に納得し、示談書または免責証書に署名押印した時です。一度示談が成立したら取り消すことはできないため、慎重に判断することが大切です。
慰謝料が支払われるタイミングは、示談成立から約2週間後、示談書を取り交わしてから約1週間後くらいです。示談書に支払期日が明記されている場合もあるので、よく確認してみてください。 なお、示談書を返送して1週間経っても慰謝料が支払われない場合は、保険会社の支払い手続きが遅れている可能性があります。保険会社に連絡をして支払い日を確認するようにしましょう。
何度交渉しても納得いく金額が提示されない場合は、裁判などの法的手続きも検討してみましょう。裁判をする分時間はかかってしまいますが、裁判所に主張が認められれば、保険会社の提示額よりも大幅な増額が期待できます。ただし、裁判には専門的な知識や経験が必要です。まずは交通事故案件の解決実績が豊富な弁護士に相談してみるのがおすすめです。
当メディア交通事故の慰謝料に納得がいかない方に向けて、慰謝料の仕組みや、弁護士に依頼することで慰謝料が増額された事例などを紹介しています。こちらもぜひ参考にしてください。
後遺障害がある場合の流れをご紹介します。後遺障害等級の認定申請などを行うため、通常の請求より時間がかかります。
通院を続けても症状が回復せず後遺症が残る場合、担当医師から症状固定の診断を受けることになります。症状固定の診断を受けたら、後遺障害診断書を作成してもらい認定申請の準備を進めましょう。
後遺障害等級の申請に必要な書類は、以下の通りです。
認定を受けるためには、後遺障害が交通事故で生じたことを客観的に証明しなくてはなりません。記載内容や通院日数、検査内容などによって認定結果が異なるため、慎重に準備することが大切。特に後遺障害診断書の記載内容に不備や漏れがあると、本来認定されるはずの等級が認定されず、適正な賠償金を得ることができなくなってしまいます。
提出された後遺障害診断書などをもとに損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)が審査を行い、後遺障害の有無や等級を判断します。認定結果が出るまでの期間は2~3ヶ月程度。場合によってはそれ以上かかる場合があります。
後遺障害等級「非該当」や、望む等級より低い等級だった場合は「異議申立て」をすることができます。異議申し立ては何度でも行えますが、同じ申請を繰り返しても結果は変わりません。提出した書類に不備がなかったか、後遺障害診断書の記載に不足はなかったか、別な角度から後遺障害を証明できるかなど検討し直すことが大切です。異議申し立ての成功率は非常に低いため、弁護士など専門家のアドバイスをもらうのがおすすめです。
後遺障害等級認定を受けた人は、慰謝料だけでなく逸失利益も請求することができます。逸失利益とは、後遺症によって被害者がこれまで通り働けなくなった場合、本来得られるはずだった将来の収入を補償する損害賠償の一つです。
逸失利益の金額は、後遺障害の等級によって大きく異なります。等級が上がるほど後遺障害の度合いが大きく、労働能力が低下したと見做されるからです。また、逸失利益は将来にわたる一生分の収入に対する補償なので、年齢が若い方が高額になります。
交通事故の慰謝料を受け取るまでには、さまざまな手続きが必要です。特に後遺障害等級の認定を受け、相応の慰謝料を獲得するためには専門知識が欠かせません。慰謝料の請求を弁護士に依頼すれば、適正な示談金額を算出した上で、弁護士基準での請求を行ったり提示金額の妥当性を検討したりすることができます。不利な条件で示談に応じるリスクを避け、心理的負担を感じることなく仕事や治療に専念できるでしょう。
弁護士特約とは、自動車やバイクの任意保険、医療保険や火災保険などに付けられる特約のこと。自動車事故や日常生活の事故で被害者になったときに、相手方への賠償請求や示談交渉を弁護士に委託する費用を補償してくれます。
保険ごとに補償上限額が決まっていますが、示談交渉を取りまとめてもらうだけなら、ほとんどの場合実質無料で収めることが可能です。相手方保険会社が提示する金額に納得いかない方は、ぜひ相談してみてください。
交通事故に遭うこと自体、大きなストレスですが、その後の対応でもう一度心身をすり減らしてしまう方は少なくありません。
そんなときこそ、弁護士に相談することが何よりの近道になります。法律や交渉の知識がない状態で保険会社と向き合うのは非常に大変ですが、弁護士が入ることで弁護士基準での慰謝料請求ができ、金額が大きく変わる可能性もあります。さらに、後遺障害等級の認定や異議申立て、裁判の対応まで、すべてサポートすることが可能です。
また、ご自身やご家族の保険に「弁護士特約」がついていれば、費用の負担なくご依頼いただけるケースも多くあります。「こんなことまで相談していいの?」と悩む前に、まずはお気軽にご相談ください。
交通事故専門の弁護士津田岳宏
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(2025年7月時点)
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