「こんなにつらい思いをしたのに、慰謝料ってこんなもの?」
交通事故の被害に遭った方から、そんな声をよく耳にします。事故後の治療や通院、将来への不安など、心も体も傷ついたのに、提示された金額にどうしても納得できない…。
実は慰謝料には、いくつかの種類と計算の基準があります。知らないまま示談に応じてしまうと、損をしてしまうこともあるのです。この記事では、「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の違いや支払われる条件について、わかりやすく解説します。
慰謝料とは、交通事故などで負った精神的な負担などを塡補するものです。交通事故で請求できる慰謝料は、主に「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類に分けられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
入通院慰謝料は、ケガによって感じた痛みや不安、治療・手術への恐怖や苦しみなどに対して支払われる慰謝料です。
たとえば、事故で足を骨折したAさんは、3か月間の通院治療を余儀なくされた場合、仕事を休みながら通院を続ける中で感じた痛みや不安に対して、入通院慰謝料が支払われることになります。
入通院慰謝料は被害者が入院・通院をした場合に限って支払われます。どんなに酷いケガでも、病院に行かなかった場合は支払われません。
後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ったことで感じる精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。
たとえば、事故で右肩を負傷したAさんが、治療後も腕を上げにくくなり、後遺障害14級と認定された場合、治療をしても完全には回復しなかった精神的苦痛に対して支払われるのが後遺障害慰謝料です。
後遺障害とは、交通事故後治療を受けても残った怪我のうち、労働能力の低下(あるいは喪失)が認められる症状のこと。部位や程度によって1~14級までの等級と140種類、35系列の後遺障害に分類されています。
後遺症と異なるのは、所定の機関の審査を受けて、後遺障害該当の認定がされているかどうかです。たとえ後遺症が残っても、後遺障害等級が認定されなければ後遺障害慰謝料の対象にはなりません。
死亡慰謝料は、被害者が亡くなったことで被った精神的苦痛に対して支払われる慰謝料のことです。被害者に家族がいた場合は特に、残された家族が大きな精神的苦痛を受けるため、家族がいる場合の方が高額になる傾向にあります。
慰謝料が支払われるタイミングは、慰謝料の種類によって異なります。一般的なタイミングと条件は、以下のとおりです。
治療が終わって治癒した場合、あるいはこれ以上治療しても改善が期待できない状態になった段階から示談交渉を行います。すべての損害額が確定し、示談交渉が成立した後、示談書の内容に基づいて慰謝料が振り込まれるのが一般的。振り込みまでにかかる期間の目安は、およそ1~2週間です。
後遺障害慰謝料は、医師から症状固定(これ以上治療しても良くならない状態)の診断を受けた後、後遺障害等級の申請を行い、等級が確定した後に支払われます。一般的な流れは以下のとおりです。
注意したいのは、後遺障害認定の申請方法によって支払われるタイミングが異なることです。
申請方法には「被害者請求(加害者側の自賠責保険会社に直接損害賠償金の支払いを請求すること)」と「事前認定(相手の保険会社に任せるパターン)」の2種類があります。
後遺障害等級の認定が結果が出た直後と示談成立後の2回に分けて慰謝料等が支払われます。示談成立前に一定の賠償金を受け取れるため、治療費や生活費などの負担を軽減することが可能です。
これに対して、「事前認定」では示談成立後にまとめて慰謝料が支払われます。申請は全て相手方保険会社が行ってくれるため負担はありませんが、必ずしも被害者に有利な形で認定が進められるわけではないので要注意です。
死亡慰謝料は、被害者の死亡が確認された後、加害者側との示談交渉がまとまった後に支払われます。一般的な流れは以下の4ステップです。
なお、示談内容に納得できない場合は裁判所での「調停」や「訴訟」で賠償内容について交渉・争うことが可能です。調停や裁判は専門性が高く、遺族だけで対応するのは難しいため、弁護士に依頼するのがおすすめです。
「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3つの慰謝料は、それぞれ賠償する目的が異なるため同時に請求することが可能です。
たとえば交通事故でケガをして入院・通院をしたものの後遺症が残り、後遺障害等級が認定された場合は、「入通院慰謝料」+「後遺障害慰謝料」を同時に請求することができます。
ただし、被害者が亡くなった場合は通院や後遺症が前提ではないため、他の慰謝料と同時請求はできません。死亡慰謝料のみが支払われることになります。
慰謝料は、ケガをしたことによる精神的苦痛に対して支払われます。精神的苦痛は目に見えないため、入通院慰謝料は通院日数や通院期間などをもとに計算します。一般的に日数や期間が長いほうが金額が高い傾向にあるようです。
後遺障害慰謝料は、主に等級によって判断します。等級は1~14級まであり、症状が重い1級に近いほど慰謝料は高額です。ただし後遺障害等級認定医は怪我の治療経過についても考慮します。このため通院日数が少なすぎる・治療期間が短すぎると等級が認定されない場合があるので要注意です。なお死亡慰謝料は、被害者の立場や事故の状況によって金額が異なります。
慰謝料の金額を算定する際は、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」3つの基準を使用します。使用する基準によって金額が変わるので、よく確認してみてください。
自賠責基準とは、車に加入が義務付けられた自賠責保険から支払われる慰謝料額を計算する方法です。交通事故の被害者に対する最低限の補償を目的としているため、当然ながら慰謝料は最低金額です。支払い限度額は、障害で120万円、後遺障害で等級により75万円から4,000万円、死亡慰謝料は3,000万円です。支払い上限額を超えた場合は、超過分を加害者側の任意保険会社に請求しなければなりません。
加害者側の任意保険会社が独自に設けた基準です。示談交渉の際に提示する金額を算出する際に用いています。ただし、実際は自賠責基準より少し高い程度。このため任意保険基準の金額で納得してしまうと、被害者が損をしてしまう可能性があります。
弁護士基準は、裁判所の判例に基づいた計算方法です。実際に裁判で慰謝料を請求する際にも採用されています。金額は、3つの基準の中でもっとも高額。自賠責基準や任意保険基準の2~3倍程度と考えれば良いでしょう。このため、被害者が自分で示談交渉を進めるよりも大幅に示談金が増額されます。
このように事故の状況が同じでも、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準のどの基準を適用するかによって、慰謝料の金額は大きく異なります。
慰謝料額は、加害者側の任意保険会社と行う示談交渉によって決められます。しかし示談交渉では「任意保険基準」での金額を提示してくるのが一般的。弁護士基準での慰謝料を求めるためには増額交渉が不可欠ですが、専門家知識のない被害者の主張は聞き入れてもらえないことがほとんどです。
このため示談交渉は弁護士に依頼するのがおすすめ。実績豊富な弁護士なら、過去の裁判例や類似事故の判例をもとに交渉を行い、納得のいく解決へ導いてくれるでしょう。
保険会社は、弁護士が介入しない限り「弁護士基準」に基づく適正な慰謝料を提示することはほとんどありません。そのため、被害者に対して本来よりも低い金額が示されるケースが非常に多く見られます。
実際に、コールグリーン法律事務所には「提示された慰謝料の金額に納得がいかない」といったご相談が多数寄せられてきました。私たちはそうしたご相談に対して、慰謝料の増額を実現してきた豊富な実績があります。
さらに、慰謝料は「後遺障害の等級」が認定されることで大きく増額されることがあります。当事務所ではこの等級認定のサポートに特に注力しており、顧問医と密に連携しながら、多数の認定を勝ち取ってきました。
慰謝料の金額に疑問がある方、適正な金額を受け取りたいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
交通事故専門の弁護士津田岳宏
浜松・京都エリアの
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「弁護士に依頼したいけれど、費用が心配…」
そう感じている方に、ぜひ知っておいていただきたいのが 「弁護士特約」 です。これは、自動車やバイクの任意保険、さらには医療保険や火災保険などに付けられるオプションで、交通事故や日常生活でのトラブルの際、弁護士費用を保険でカバーできる仕組みです。
たとえば、事故の相手方への損害賠償請求や示談交渉などを弁護士に依頼した場合、その費用が補償されるため、実質自己負担ゼロで専門家に相談・依頼が可能になるケースも少なくありません。
保険によって補償の上限額は異なりますが、多くのケースで示談交渉の費用はその範囲内に収まります。
まずはご自身の保険に「弁護士特約」が付いているかを確認してみてください。「費用の不安」で泣き寝入りせず、正当な権利を守る一歩に――その鍵が、この特約にあります。
当メディア交通事故の慰謝料に納得がいかない方に向けて、慰謝料の仕組みや、弁護士に依頼することで慰謝料が増額された事例などを紹介しています。こちらもぜひ参考にしてください。
(2025年7月時点)
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